前のページでは、「血糖値」の定義と、血糖値をコントロールする上でカギとなる2つのホルモンについてご紹介しました。ここでは、より具体的に血糖値がどのように変動するのか、そのコントロールメカニズムについて、ステップでご紹介いたします。
膵臓のランゲルハンス島から分泌されるインスリンとグルカゴンの2つのホルモンが働き合うことで血糖値のバランスが保たれていることが分かります。では、もしインスリンとグルカゴンの調整がうまく働かなったらどうなるでしょう? その場合、何が2つのホルモンの乱れを引き起こすのでしょうか?
では、血糖値がコントロールできなくなる要因と、その健康リスクについて解説します。その際、カギを握るのがインスリンの働きです。
高血糖状態が長期間続くとどうなる?
高血糖の状態が長期間続くと糖尿病と診断されます。糖尿病になると血管が傷ついたり、詰まったりして、血流が滞ります。それが原因となって、血管とそれにつながる臓器が影響を受け、さまざまな合併症が生じます。
主な合併症としては、神経障害、網膜症、心筋梗塞、脳梗塞などがあります。
■高血糖状態が長期間続くとどうなる?
■低血糖が重症化・長期化する要因
高血糖の状態が、インスリンの分泌低下・抵抗性の問題によって引き起こされるのに対し、低血糖の重症化はグルカゴンの分泌不足によって生じます。
低血糖が重症化・長期化するのは、インスリン分泌が減少した場合でも膵臓の「アルファ細胞」がそれをうまく感じ取ることができず、グルカゴンの分泌が促進されないときに起こります。これにより、血糖値を上げるシステムがうまく働かず、低血糖症状が持続し、さまざまな症状を引き起こすようになります。
低血糖状態が重症化・長期化すると・・・
低血糖の初期症状としては、空腹感、動悸、発汗、眠気、めまいなどが挙げられます。これが、さらに重症化・長期化すると、傾眠、混乱、けいれん、意識障害などの症状が起こります。
このように、血糖値のコントロールがうまくいかなくなることは結果として、命を危険にさらすこととなるのです。
次回は高血糖・低血糖を引き起こす原因として、自分自身で「コントロールが可能」なものと「コントロールが困難なもの」について解説していきます。