前回の記事では、季節によって変わる血糖値についてご紹介しました。今回の記事では、食後に起こる血糖値の乱高下 「血糖値スパイク」について解説します。血糖値は高くなければ大丈夫!? いいえ、それは間違いです。健康リスクにもつながる血糖値スパイクと、スパイクの防ぎ方を見ていきましょう。
■血糖値スパイクとは?
「血糖値スパイク」とは、食後1~2時間で起こる血糖値の急激な上昇と下降のこと。血糖値が急激に上がったり下がったりすると血管がダメージを受け、さまざまな健康リスクが生じると言われています。
血糖値スパイクの原因は、インスリンを分泌する能力の低下です。膵臓の老化や肥満などによってインスリンの分泌能力が衰えると、インスリンの分泌量の減少や分泌タイミングの遅延などが起こります。すると、細胞がグルコース(ブドウ糖)を取り込めず、血糖値が急激に上昇(食後高血糖)。急上昇した血糖値を抑えるためにインスリンが多量に分泌され、それによって今度は血糖値の急降下が起こります。
■血糖値スパイクを防ぐには
血糖値スパイクによって血管がダメージを受けると、さまざまな健康リスクが浮上します。その一つが動脈硬化。血糖値が乱高下することで血管の壁がボロボロに傷つくと動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞のリスクにつながります。また、糖尿病や認知症、がんなどのリスクも高まると言われています。
気付かずに放置すると怖い血糖値スパイク、どうすれば防ぐことができるのでしょう? 血糖値スパイクの予防方法としては、食物繊維を多く含む野菜を最初に食べるなど食事の順番を工夫したり、低GI値*の食品を積極的に食べたりすること。食後の運動(ウォーキングや筋トレ)や食後血糖値の上昇を抑えるサプリメントの摂取なども効果的です。
*GI値とは
GI(グリセミックインデックス)は、食後の血糖値の上昇を示す指標で、どれくらいの速度で血糖値が上昇するかを数値化したものです。オーストラリアのシドニー大学ではGI値が70以上の食品を高GI食品 56~69の間の食品を中GI食品 55以下の食品を低GI食品と定義しています(ブドウ糖を基準値の100とした場合)。
■ 血糖値スパイク予防のヒント
いかがでしたか? 緩やかな血糖値の変動を維持することで、健康リスクを減らすことができるかもしれません。毎日の食事と運動に気を付けつつ、正常な血糖値をキープしていきたいものですね。